地方版総合戦略策定講座(2015.04.23)
「地方創生法」に関して人口減少克服と地方創生を進める「まち・ひと・しごと創生法」は、2060年に1億人程度の人口を維持するという展望示した「長期ビジョン」に基づき、人口減少と地域経済縮小克服と東京一極集中を是正するための方針と基本理念、国や自治体の責務を定めた13条の理念法である。2015年から5年間の目標、基本的方向、具体的施策をまとめた「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では地方の雇用創出、地方への人の流れ、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる時代にあった地域づくりと地域間連携を基本目標に据えている。自治体にも、地域の特性を踏まえた地方版人口ビジョンと総合創生戦略の策定が求められている。創生戦略の策定は義務ではないが、自由度の高いとされる創生戦略交付金、地域消費喚起生活支援型2500億円、地域創生先行型交付金1700億円が平成26年度補正予算で実施された。
一方地域再生法は、自治体が地域活性化の具体的事業計画を策定し国はそれを認定するものである。所管は内閣府地域創生推進室で、ワンストップで相談に応じるコンシェルジェ制度、中心市街地活性化計画、構造改革特区域計画等も同時発効できるワンパッケージ化、地域再生戦略交付金が準備されている。「地方創生ビジョン法」と「地域再生計画法」 の両方で地方創生を進めようとしている。このため、ビジョンは自治体で独自に作る必要がある。
地域再生計画は具体事業として国の認定を必要としている。今後は具体的な事業を実施するとなると両方が必要となる。また、国のメニューに合わせるのではなく、独自戦略こそが必要である。そのためには、将来の姿を考えることが重要である。平成27年1月22日に、地域再生計画の認定が、昨年改正された地域再生法に基づき発表され、総理官邸で安倍総理から認定書が授与された。実は内閣府では地域再生法の改正を前提に、昨年の4月に地域活性化モデルケースの募集を行い、地域活性化プラットホームワーキングチームによる評価を経て33の自治体を選定した。
「持続可能な都市・地域のテーマ」では、地方都市型で富山市等10件、農山漁村・過疎地域等型で6件、「地域産業の成長・雇用の維持創出テーマ」では、地元地域資源活用型で5件、広域地域資源活用型で6件、産業集積活用型で6件 となっている。平成26年8月には、各省庁が現場に出向きコンサルティングを、10月からはワーキングチームによるフォローアップを行い、コンシェルジュ制度の予行演習を行ってきた。
こうした事前の取り組みを経て、この1月に早々と20自治体に認定が出されている。石巻市と浜松市とは地域再生計画と中心市街地活性化基本計画が同時認定になっている。国は一体的と言いながら、官房と内閣府に二つの組織を置いたまま動き出しているため、わかりづらい体制と言えるが地方創生が司令塔、地域再生が実行部隊と表現されることが多くなってきている。
(関幸子氏講演より文章化)