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地方創生戦略入門~競争力のある地域づくり(執筆中)

平成12年、森内閣の時代に補助金が申請できる対象者に“任意グループ等”が加わり、同時にNPOの法人化の整備が進んだ。小泉内閣となった平成16年には「格差是正」から「集中と選択」の時代へと突入した。毎年、同じような団体に「格差是正」のもと補助金が配られ、ただ口を空けているだけで補助金が入ってくる対象団体は競争力を失っていた。小泉内閣が進めた「集中と選択」では、自治体や任意団体が実施したいことを申請書に書き記し、「やる気」を示すことによってそこに集中して補助金が配られることになった。これによって新たな担い手たちに、イノベーションの初動期に必要なカネが届くことになった。地域づくりに補助金不要の議論は承知している。中心市街地に公共施設の名のもとに象徴的な建築に投資が行われることには疑問を感じる。人口減少の中で街が収縮することへの対応とその検討は必要であるが、都市の中心部に大きな投資が行われた後にその維持のために更なる補助金が継続されることに違和感を覚える。都市部の繁栄とその維持の中で、条件不利地や広域合併した市町村の縁辺部はなおざりにされてはいないか。平均年齢が80歳を超え、住民があと10人しか残っていない瀬戸内の離島、平成23年の水害で鉄橋の残骸が放置され、いまだ不通のJR只見線。本書は、こうした条件不利地の話からはじめたい。いずれ日本全体に広がるのであろう問題はこうした条件不利地から発したものが多い。離島、半島、過疎地と見回せば、海なり、森なり人が住んでいない場所に囲まれ、収益をあげるべき市場に恵まれていないエリアでなぜ、日本の地方創生戦略の先駆けとなる先進事例が生まれるのか。それは日本で最初に危機的な問題を突きつけられているからである。何とかしなければいけない崖淵に追い込まれているからである。ここから発する資金がないなりにも知恵や工夫を使った地方創生は、すでに競争力を秘めている。我々はこうしたエリアで行われている生き残りをかけた競争論を感知して地方創生戦略を考えることが重要だ。

地方自治体やその住民による地域間競争は地域再生法の意義及び目標の中で「地域は、自主的かつ自立的な取組、夢を抱いて知恵と工夫を競うアイデア合戦(「地域戦略メガコンペ」)を展開」と位置づけられている。地域の競争力を構成するものとは何か。それは、新たなポジショニング、特異な担い手の存在、取組や成果の具体化の速さ、持続システムの構築にある。これは内部者だけでは実現しない。「創発」を判定する客観的な立場の外部人材も必要である。そしてこうした現場で必ずや起きる「創発」が先進領域に誘導してくれるはずだ。こうした取り組みが国の行く方向を決めると言っても過言ではないだろう。

本書では地域が競争力をつけるために必要な現況把握、地域課題の抽出、計画立案、社会実験、真の地域資源の発見、創発の判定、再投資といった事業の成長の手順をまとめている。地域が補助金をもらい続けないために、早期に自立しなくてはいけない。2番煎じでは自立は難しい。何度も挑み失敗が続く向こう側に成功は待っている。数年という時間がたつにつれ再度、付加価値を更新することが必要となり、再びリスクに立ち向かう勇気を持つことが必要である。これらの手順は、平成16年より実施された地域再生事業の中で地域再生マネージャーとしてその任務に当たった筆者の手口である。地域再生事業から11年後の平成27年から始まった地方創生戦略にこの経験は生きるのではないか。本書は、地域のイノベーションを支える人材の育成のためにノウハウを伝授することを目的としたものである。地域のエッジの効いた競争力を駆使することにより、小さな成功を積み重ね、地域の担い手を育成し、地域自立に効果を発揮する地方創生戦略を実現してほしい。