千葉県立松尾高校スーパーグローバルハイスクール
地域から考えるグローバルエイジング研究
松尾高校SGHは「地域から考えるグローバルエイジング研究」がテーマであり、地域との連携は不可欠である。団塊の世代がすべて後期高齢者となるいわゆる2025年問題を解決するための介護人材の養成は急務である。こうした人材の育成は、いずれは世界的に解決して行かなければならない問題であり、それを果敢に挑んでいるのが松尾高校のSGHである。文部科学省は、松尾高校のSGH指定に当たり、福祉教育推進校としての伝統や地域の課題を踏まえてきわめて独自性と具体性のある特色あるテーマであると評価しており、山武地区を世界的な高齢者福祉のモデル地区とするための人材を育成するというように、ローカル(山武市)とグローバルをどのように結びつける教育を行うのかとの姿勢を明確にしてほしいとの所見を寄せている。山武市地方創生戦略は松尾高校SGHと連携した世界的な高齢者福祉モデル地区とするための人材育成の支援を目指そうとしている。
山武市、山武市地域包括支援センター、大学との連携
松尾高校が立地する千葉県や山武地域において直面している少子高齢化・健康維持推進・高齢者福祉等の地域課題を山武市や山武市地域包括支援センターと連携しその現状やあり方を研究することが松尾高校のSGHである。松尾高校に近接立地する筑波大学グローバルエイジングセンター準備室(茨城県つくば市)や城西国際大学(千葉県東金市)との連携を図り、筑波大学が推進する高校生向け高齢者福祉プログラムの活用や城西国際大学が北欧やアジアの研究機関と推進する国際高齢者ケア基準とケア専門職養成プログラムの成果を踏まえた研究を進めるものである。また、JICAがアジアにおいて進める日本の福祉制度に関する技術移転プログラムを踏まえた研究を行っている。
日本が経験している高齢化問題とその対応策は急激に高齢化するアジアの高齢化問題に寄与することが可能である。世界で活躍するグローバル・リーダーとして育つためには、今住んでいる地域(千葉県)で直面している地域課題を理解し、そこで得た知見をもとに進むべき方向性を議論できるようなチームの統率者こそ高齢者福祉の分野を支えるグローバル・リーダーである。高齢者福祉に関わる人材は,国境を越え流動化する時代となり互いに連帯して問題を乗り越えてゆくことが重要となる。このためには,グローバルエイジングに関する理解を持ち、北欧の先進的な取り組みを理解するとともに、アジア諸国の問題として放置しない相互理解の精神も欠かせない。こうした人材こそが多国間を柔軟に横断し,諸問題を解決できる人材として求められるものだ。
山武市長施政方針(平成27年市議会第2回定例会)
松尾地域のまちづくりから派生した、松尾高等学校の「スーパーグローバルハイスクール」への挑戦は、当初の予想を大きく超える成果をもたらし、一回目の申請で5年間の「SGH(スーパーグローバルハイスクール)」指定校になることが出来ました。山武市といたしましても「今後のこの取り組みの失敗は、松尾高等学校の存続そのものを危うくし、ひいては松尾地域の決定的な衰退を招く」という覚悟を持って、取り組んでいかなければなりません。
高校がグローバルな視点を持たなければ存続できないのなら、地域としてもグローバルな視点を無視して未来は開けないのではないでしょうか。松尾高等学校の挑戦は、山武市のこれからの方向性にも大きな影響をもたらすことになりました。
成田空港の近郊に位置することの優位性をしっかりと反映させ、市も地域もグローバルな視点をまちづくりの根幹に据えることになるものだと思います。