千葉県山武市<育てる力>集中創生戦略
創発する山武市地方創生戦略
千葉県山武市松尾交流センター洗心館がオープンした。公民館だけでは面白くない。にぎわいの拠点にならない。何か楽しいアイデアを出そうと計画立案の会議の冒頭で市長が発言。何で若者たちはダンスをしている時にあんなに楽しそうな顔になるのか。ダンスやろう。こうして洗心館に4室のダンススタジオを併設する計画ができ公民館がオープンした。しかしなぜ、公民館でダンスなのかを明確に説明できないのも事実だった。
一方、公民館のオープン直前のタイミングで、世界的ダンサーの菅原小春さんが山武市出身とわかる。そして実にいいタイミングでスティービーワンダーとの共演のCMが放映され菅原さん自身の知名度が上昇。山武市はなぜダンスなのかを説明できる大きな理由を得た。これにより、地方創生戦略の中でダンスに特化したスポーツツーリズムの振興を書き込むことができた。これは山武市の大きな強みになる。実にラッキーだった。そしてこのラッキーこそ地域再生事業の中でよく起こる偶然、ラッキー。創発(セレンディピティ)という現象だ。知名度のある菅原さんの存在があり、それを起点に公民館のダンススタジオ併設の議論や地方創生戦略を検討するのでは多分遅いのだろう。多くの事業が失敗するのは事業達成速度が遅すぎることにある。また、こうした偶然、ラッキーが地方創生戦略の策定段階のタイミングに出てくることを驚くほかない。「たまたま、タマがあった」とは担当者の弁。創発(セレンディピティ)により競争力を持ち合わせた地方創生戦略ができたと言わざるを得ない。菅原さんがこの公民館でダンスワークショップを開催するとなると全国から多くの若者が集まることになるだろう。ダンスメッカとしてのブランド化が確立すれば山武市は新たな観光の柱を手にすることになる。これはひとえに説明できないリスクを乗り越え計画を実現したことにある。説明できないことでフロンティアにいることになったからである。また、地方創生戦略策定の前にタマ(案件)を持っていたことの競争優位性が判明すれば、5年後の地方創生戦略策定に向けてはたゆまない地域イノベーションを行い続けることが重要なことを示すことにならないか。「何もやらない人は(偶然に物事を発見する能力である)セレンディピティに接する機会はない。一生懸命やって、真剣に新しいものを見つけようとやっている人には顔を出す」とノーベル化学賞を受賞した鈴木章北海道大学名誉教授が言っている。創発とは「瓢箪から駒」と東京大学藤本隆宏教授が言っている。
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