中山間地域農業の課題構造マップを作る

中山間地域農業・農村の課題構造マップ

中山間地域農業は疲弊し集落は消滅危機に直面している。しかし、集落の未来の方向性は決まっていない。集落撤退論、むらおさめ論、むらつなぎ論をまちとひと、しごとと家族の次元で位置づけ、地域政策の課題の構造を「課題マップ ループ図 」という形で可視化したものである。

土地利用型地域ビジネスの定義(むらつなぎ論、掛け算)

土地利用維持という目的のために適正規模の農家が集まり、社会的価値を市場価値に変換する地域ビジネスである。(斉藤俊幸,限界集落の経営学,p109,2024年)、内発型発展論でいう生産量は大量生産ではない。筆者は適正規模が生産する少量生産を束ね産業化に結び付ける必要があると主張する。ここで初めて地域における自力更生ができる生産規模が見えてくる。これは土地利用型地域ビジネスにおいては中量生産を準備する必要があることを示している。(斉藤俊幸,限界集落の経営学,p179,2024年)、国の直接的な投資が必要である。国の直接的な投資により、広域の農地を維持できる産業の設備投資を中心としたハード事業を実施し、地域はイノベーションを起こせるソフト事業で生きるのだ。それが日本の未来も切り開く。(斉藤俊幸,限界集落の経営学,p185,2024年)

掛け算を強調する地域みらい戦略は政策の大転換を示しているのではないか(農村政策の「内向き化」の中で、それとは異質なものの登場)

足し算の支援 とは寄り添い型支援であり、掛け算の支援 とは事業導入型支援のことである。地域力がマイナスの時に事業導入(掛け算)するのではなく、まずは地道な寄り添い支援(足し算)を行うことが大切であると言われ、掛け算の支援 は今まで否定されてきた。しかし農水省の地域みらい戦略では「掛け算」を強調している。これは地域政策の大きな転換を示しているのではないか。

地方みらい創生戦略(農水省) https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/kihyo01/250529.html